|
世 界 連 邦 憲 法 |
草 案
世 界 連 邦 憲 法
鈴 木 俊 雄
世 界 政 府 研 究 所
前 文
我々は、かけがえのない地球に住んでいる。我々は、幸福になり人生を楽しみたい。もし、幸福になり人生を楽しみたければ、多くの問題を解決しなければならない。現代において、最も深刻な問題は戦争、貧困、そして環境の破壊であると思われる。現代では、世界はインターネットで結ばれており、この状態はこれまでの時代とは全く異なる。それ故、現代にふさわしい政治経済体制を考えなければならない。 第一に、過去の地球の状態を認識しなければならない。原始時代には農業がなかったので、すべての人々は非常に貧しかった。職業軍人や地主はいなかったが、これは貧しい社会はそれらの人々を養えなかったからである。 封建時代においては農業があり、農業は社会が職業軍人と地主を養うことを可能にした。これは、社会全体に余剰が生じたことを意味する。それ故、すべての人々が平和を好み問題を対話で解決しようとしたならば、多くの戦争が防げたはずである。 現代、21世紀、においては、科学技術は封建時代とはくらべものにならない程高いにもかかわらず、戦争は完全に終結しておらず貧困は完全に撲滅されていない。さらに、環境の破壊が新たな問題として発生してきた。 このように、社会の状況は時代により異なるので、新しい時代にふさわしい政策を考えなければならない。我々の社会をより良くするためにしなければならないことを考えるとき、何に最優先権を与えなければならないかと言う明確で確固たる基準を持たなければならない。この基準は、時代により変化する。原始時代においては、世界の平和と地球の環境の保全よりも、地元の人々の幸福を考えなければならなかったように思われる。封建時代においては、各国の人々の平和と幸福に最優先権を与えなければならなかった一方、世界平和と環境の保全について考えることは意味がなかったように思われる。しかし現代、21世紀、においては各国の利益を考える前に世界平和と環境の保全について考えなければならない。つまり、各国の利益に最優先権を与えてはならない。この憲法は、世界全体あるいは社会全体の利益に最優先権を与えなければならないという思想に基づいて書かれたものである。世界が良くなれば、それぞれの国が良くなる。それぞれの国が良くなれば、我々の生活が良くなる。それ故、世界全体の利益について考えなければならない。現代において、世界全体のあるいは社会全体の利益について考えるとき、戦争の終結、貧困の撲滅、そして環境の保全が最も重要な問題であると思われる。我々は、どうすればこれらの問題に取り組めるかを考えなければならない。 世界あるいは我々の社会において、我々の個人的な生活を除いて、我々の幸福にとって最も重要な要因は政治経済体制である。最高の政治経済体制は、政治と宗教の分離のもとで可能である。ここで、政治と宗教の分離は、宗教を信仰してはならないということを意味しない。我々は、宗教を信仰せずには、幸福な生活をおくることはできない。しかし、宗教は人により異なる。それ故、すべての宗教は、社会の政治経済体制のもとで許され尊敬されなければならない。これが、政治と宗教が分離されなければならない理由である。しかし、宗教が政治に影響を与えることは避けられない。政治と宗教の分離とは、特定の宗教団体に、政府により便宜が与えられてはならないということを意味する。宗教団体は、政教分離の体制のもとで存続できる。すなわち、宗教団体は、信者のお布施により維持される。それ故、宗教は、法的な権力がなくとも、慣習的に政治に影響を与えることができる。 もし、我々が幸福な生活を望むならば、地球を平和な惑星にしなければならない。もし、地球を平和な惑星にしなければならないならば、世界連邦を樹立し維持しなければならない。世界連邦の基本的な利益は以下のとおりである。
1 世界連邦は、戦争を減らすか防ぐことができる。これは、戦争による人々の死亡および負傷の減少、戦争による破壊の減少、そして軍事費の削減を可能にする。 2 世界連邦は、国際共通通貨を発行できる。これは、為替レートの変動をなくすことを可能にする。 3 世界連邦は、すべての人々に雇用を提供できる。これは、貧困の撲滅を可能にする。
上の項目のうち第一項目と第二項目は常識として容易に理解できるが、第三項目は、以下のように説明される。 現代の世界には、極貧の人々がいる。人々は、原始時代でも生きられたが、現代では科学技術は原始時代とは比べものにならないが、依然として貧しい人がいる。貧しい人は、重労働をしているのに貧しいと言う状態ではなく、基本的に貧しい人は仕事を得られないので貧しい状態にある。したがって、雇用が提供されなければならない。世界連邦は、この状況を改善できる。貧困を撲滅するためには、仕事を提供しなければならない。失業している人々に仕事を提供するためには、事務所あるいは工場あるいは学校などを、たとえそれらが赤字でも、建設しなければならない。もし、それぞれの国がこの政策をとれば、その国は国際競争力を失わなければならない。例えば、ある国が人々を雇うために、たとえ赤字でも自動車工場を建設すれば、その国は国際競争力を失わなければならない。しかし、すべての国が世界連邦に所属していれば、それぞれの国は人々を雇うためにこの政策をとることができる。 このように我々は世界連邦を樹立しなければならず、それ故、世界連邦憲法が必要である。本憲法が樹立を目指している世界連邦は、社会の限られた面にのみ関わっている。すなわち、原則として、世界連邦は軍事力の管理、通貨の発行、および個々の国が単独では解決できない他の政治経済問題にのみ関わる。宗教、自由主義あるいは共産主義のような政治経済体制、工業、農業、商業、科学、芸術、スポーツ、伝統などの社会の他の側面は各国の自由に委ねられている。それ故、世界連邦内において、ある国は自由主義を宣言でき、ある国は共産主義を宣言できる。世界連邦においては、政治と宗教は分離される。宗教は個人的なこととみなされるので、どのような宗教も許される。 一般的に、政治権力は、三権、つまり、立法、行政、および司法行政に分けられる。しかし、本憲法においては、三権は平等には分割されず、世界議会が、政治における最高権威である。基本的に、世界連邦は、世界議会、世界政府、および世界法廷から成る。世界議会は基本的に1,000人の議員からなり、各国の人口に応じて議席が配分される。行政は、総理大臣に率いられる世界政府によって運営される。そして、司法行政には世界法廷がある。各国は、人口に比例して配分される議席に従って、世界議会に代表を送ることができる。各国は、各国から選ばれた議員を議席の三倍まで登録することができ、これらの登録議員のうちから、その議席に応じて代表を送ることができる。各登録議員に問題があるときは、他の登録議員は、その登録議員の議員資格に異議を申し立てることができる。異議が一定の比率に達したとき、除名の手続きが開始される。このように、不適切な登録議員は除名される。それ故、各議員は、批判に耐えうる強靭な人格を持つことを要求される。世界議会は、世界政府の総理大臣および世界法廷の裁判官を任免する。この制度は、世界議会が最高権威を持つことを可能にする。 これは、国際社会の一員であり、世界全体あるいは社会全体の利益を最優先にする人々のための憲法である。すなわち、これは世界市民の憲法である。世界市民はあらゆる人種の人々から成り、宗教はいかなる人々にとっても世界市民となる障害とはならない。ここに、世界社会の一員である人々のための、すなわち、世界市民である人々のための世界連邦憲法を制定する。
第一章 世界社会の構造
第一条 政治経済的構造
地球上の人類社会は、政治経済的には、世界連邦に属する国と属さない国から成る。世界連邦内には、世界議会、世界政府、および世界法廷がある。
第二条 世界連邦
世界連邦は、独立国から成る世界的規模の連邦である。いかなる国も世界連邦に加入することができ、かつ世界連邦に加入することを強制されない。
第三条 世界議会
世界議会はそれぞれの国からの議員から成り、議席は人口に応じて配分される。それぞれの国から選ばれた当選者は、世界議会に登録されなければならない。世界議会は、政治経済的な見地からは、世界連邦の最高権威である。
第四条 世界政府
世界連邦には、世界政府が存在する。世界政府の総理大臣は、世界議会への代表である候補者の中から、世界議会によって選ばれる。世界政府の基本的な機能は、世界連邦における行政である。
第五条 世界法廷
世界連邦には、世界法廷が存在する。世界法廷の裁判官は、登録議員によって提出された候補者名簿の中から、世界議会によって選ばれる。世界議会は、世界連邦内の国際問題のみを扱う。ただし、世界議会が必要であると議決すれば、各国の国内問題の事件を審理する。
第二章 世界連邦
第六条 世界連邦の構造
一 すべての国が世界連邦に加入でき、それぞれの国は独立している。世界連邦においては、社会の限られた側面のみが世界政府によって統治される。すなわち、原則として、軍事力、通貨の発行、及び個々の国には単独で解決できない他の政治経済問題のみが世界政府によって統治される。宗教、自由主義や共産主義のような政治経済体制、工業、農業、商業、科学、芸術、スポーツ、伝統等のような社会の他の面は、個々の国の自由にまかされている。それ故、世界連邦においては、政治と宗教は分離されており、宗教は個人的な事とみなされているので、いかなる宗教も許される。 二 それぞれの国は、本第二章の条項に従う義務はない。しかし、本章における精神は理解されるべきである。
第七条 世界連邦の主権者
世界連邦の主権者は、世界連邦に属する国に居住している人々である。この権利、主権、は譲渡できない。
第八条 主権の行使
世界連邦内の国に居住しているすべての国民は、世界議会の議員の選挙を通して主権を行使する。世界連邦内のすべての一定の年齢の人々には、人種、信仰、性別、社会的地位、出自、教育、資産あるいは所得にかかわらず、普通選挙権が保障されなければならない。
第九条 安全を維持する義務
世界連邦内の国に居住しているすべての国民は、世界連邦の最高権威である世界議会を尊重しかつ従い、不断の努力により世界連邦の安全を維持する義務がある。義務を果たした後に、すべての人々は本憲法および法律で保障された権利を持つことができる。
第十条 税を支払う義務
すべての国民は、法律に従いそれぞれの国に税を支払う義務がある。
第十一条 教育を受ける義務と権利
一 すべての国民は、法律に従い能力に応じた教育を受ける義務および権利がある。 二 すべての国民は、その保護下にある子女に、普通教育を受けさせる義務がある。 三 義務教育は、無償とする。
第十二条 勤労の義務および権利
すべての国民は、働く義務および権利がある。
第十三条 人間として生きる権利
一 すべての国民は、人間として幸せに生きる権利があり、この権利は譲渡できない。 二 生活のすべての領域において、世界連邦はすべての国民の幸福を促進する義務がある。
第十四条 法のもとの平等
すべての国民は、人種、信仰、性別、社会的地位、出自、教育、資産あるいは所得にかかわらず、法のもとに平等である。
第十五条 宗教の自由
宗教の自由は、保障される。憲法を含むいかなる法も、宗教に関しては中立でなければならない。特に、政治と宗教は分離されなければならない。
第十六条 思想および良心の自由
思想および良心の自由は、保障される。
第十七条 集会および結社の自由
集会および結社の自由は、保障される。
第十八条 表現の自由
言論、出版、および他のすべての表現の自由は、保障される。
第十九条 学問の自由
学問の自由は、保障される。
第二十条 婚姻
一 婚姻は、平等の権利を持つ両性の同意に基づかなければならない。 二 配偶者の選択、財産権、相続、離婚、および婚姻と家族に関する他の事柄に関しては、個人の尊厳と両性の本質的な平等に立脚して、法が制定されなければならない。
第二十一条 移民および国籍変更の自由
外国への移民および国籍を変更する自由は、保障される。
第二十二条 労働者の権利
労働者の集合する権利および団体的に交渉する権利は、保障される。
第二十三条 私有財産の権利
一 すべての国民は、私有財産を所有する権利がある。財産権は、法律で定める。 二 私有財産は、公共のために用いるために、政府が保障するという条件で、政府により接収できる。
第二十四条 公務員を選定し解任する権利
一 すべての国民は、法律で定められた手続きに従い、国会議員、地方議会議員、地方公共団体の首長、および法律で定められた他の公務員を選定し解任するという、譲ることのできない権利を持つ。 二 すべての公務員は社会全体の奉仕者であって、社会の一部の奉仕者であってはならない。
第二十五条 普通選挙権および秘密投票
一 選挙においては、成人者による普通選挙が保障されている。 二 選挙においては、投票の秘密は犯してはならない。選挙人は、その選択について、公的にも私的にも、責任を問われない。
第二十六条 裁判を受ける権利
何人も、裁判を受ける権利を奪われない。
第二十七条 請願の権利
何人も損害の補償、公務員の解任、法律の制定あるいは廃止あるいは改正、およびそのほかの事柄のために平穏に請願する権利を持つ。何人も、そのような請願をしたために差別されることはない。
第二十八条 国または公共団体に対して保障を請求する権利
何人も、公務員の不法行為により損害を受けた場合、法律に従い、国あるいは公共団体に保障を請求する訴訟を起こす権利を持つ。
第二十九条 罪および罰
一 何人も、罪を犯した者は、法律で定められた手続きを経て、罰せられなければならない。 二 何人も、法律で定められた手続によらず、その生命あるいは自由を奪われることはなく、その他の刑罰も科せられない。
第三十条 逮捕の手続き
何人も、現行犯の場合以外は、裁判官が発行した理由を明記した令状がなければ逮捕されない。
第三十一条 住居捜索および所有物の押収
裁判官が発行した理由を明記した令状がなければ、前条に従い逮捕される場合を除いては、何人の住居も捜索されず所持品も押収されない。
第三十二条 刑事被告人の権利
一 すべての刑事事件において、被告人は、公平な裁判所の迅速で公開の裁判を受ける権利を持つ。 二 被告人は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与えられ、公費で自己のために強制的手続きにより証人を得る権利を持つ。 三 被告人は、いかなる場合でも、資格を持つ弁護人の助力を得ることができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。
第三十三条 拷問の禁止
公務員による拷問および残虐な刑罰は、絶対に禁止する。
第三十四条 強制された自白の無効
一 何人も、自己に不利な証言を強制されない。 二 拷問による自白は無効である。 三 何人も、唯一の証拠が本人の自白である場合は、有罪とされない。
第三十五条 遡及処罰および二重処罰禁止
一 何人も、実行のときに適法であった行為あるいはすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。 二 何人も、同一の犯罪については、重ねて刑事上の責任を問われない。
第三十六条 刑事保障を求める権利
何人も、逮捕されたのちに無罪の判決を受けたときは、法律に従いその刑事保障のために国を告訴することができる。
第三章 世界議会
第三十七条 世界議会の権威
政治および経済に関しては、世界議会は世界連邦において最高権威である。これは、世界議会の議席はそれぞれの国の人口において配分され、議員はそれぞれの国の国民によって直接選ばれ、不適切な議員は他の議員によって除名されるからである。
第三十八条 制度
世界議会は、一院制とする。
第三十九条 世界議会の機能
世界議会は、以下の機能を果たす。 i 世界連邦における世界の政治経済的情勢に関する議決案および法律を可決する。 ii 世界議会の総裁、書記長、書記、広報官、登録委員会の委員、財務委員会の委員、世界政府の総理大臣、世界法廷の裁判官、会計検査院の検査官を選出および解任する。 iii 財務委員会によって提出された世界連邦の予算案を承認する。 iv 委員会を設立し、必要があればそれらの委員を選出する。 v 世界連邦の最高権威として、それにふさわしいその他の事項を議決する。
第四十条 世界議会の理事
一 世界議会の理事は、世界議会の総裁、書記長、書記、広報官、登録委員会の委員、財務委員会の委員、世界政府の総理大臣とする。 二 理事は、世界議会の議員でなければならない。
第四十一条 理事会
一 世界議会の総裁は、理事会を招集し、議長となるか議長を任命する。 二 理事会は、世界議会の開催地と期日、世界議会の会議のプログラム、予算案、および世界議会に関する他の問題などについて決定する。すべての事項は、世界議会に報告されなければならない。 三 議決は、以下のいずれかの場合に、有効である。 i 過半数の理事が出席している。 ii 理事会開催の通知が少なくとも開催日の一か月前に、通常の手紙、電子書簡、インターネット上の掲示板等を通して、総裁により発行されていて、開催地は他の開催地と比べて到達することが困難でない。この場合、理事会は出席している理事の数に関係なく承認される。 iii 異なる場所にいる理事同士の通信が、インターネットあるいは他の電子的通信システムを通して行われ、三分の二を上回る理事が回線上の理事会に出席している。 四 理事会におけるすべての事項は、会場あるいは回線上の出席している過半数の理事によって議決され、可否同数のときは、議長が決定する。
第四十二条 総裁の職務
一 世界議会の総裁は、世界議会の最高責任者である。 二 総裁は、副総裁を任命する。 三 会長は、世界議会の会議と理事会を招集する。 四 総裁は、世界議会および理事会の会議において議長を務めるか、議長を任命する。
第四十三条 副総裁の職務
一 総裁がやむを得ない理由により職務を遂行することができないときは、副総裁は総裁として職務を遂行する。 二 副総裁が職務を遂行することができない場合には、総裁によって理事から任命された代理人が総裁としての職務を果たす。総裁は、少なくとも3人の代理人および代理の順序を指定する。
第四十四条 書記長の職務
一 書記長は、大統領の指揮によって、世界議会の議員間の関係を整えるために必要な業務を遂行する。 二 書記長は、世界議会の公式の議事録を作成し、法律で定められたその他の職務を遂行する。
第四十五条 書記の職務
書記は、書記長の指揮により、その職務を遂行する。書記長を含む書記の最大数は、7人とする。
第四十六条 広報官の職務
一 広報官は、世界議会の公式声明を発表する。 二 広報官は、副広報官を任命する
第四十七条 登録委員会の職務
一 各国の議席の配分は、登録委員会によって計算される。登録委員会によって配分された議席数は、世界議会によって承認されなければならない。それが承認されないときは、配分は有効ではない。 二 登録委員会は、加盟国から選出された議員の登録を受け入れる。 三 登録議員の議員資格に対しての異議申し立ては大統領に送付されなければならず、次に登録委員会に送付され、登録委員会で検討される。異議が登録議員の総議決権数の5%に達した場合、登録委員会は、第六十条に規定されている除名の手続きを開始する。 四 登録委員会は、世界議会の総裁、書記、広報官、登録委員会の委員、財務委員会の委員、世界政府の総理大臣、世界法廷の裁判官および会計検査院の検査官の選挙を行う。 五 登録委員会の委員の数は、最大で7人とする。 六 登録委員会の委員は、世界議会の議員でなければならない。
第四十八条 財務委員会の職務
一 財務委員会は、世界連邦の予算を配分する。 二 財務委員会の委員の数は、最大で12人とする。
第四十九条 世界議会での選挙
一 世界議会の総裁、書記、登録委員会の委員、財務委員会の委員、世界政府の総理大臣、世界法廷の裁判官 および会計検査院の検査官の選挙は、世界議会で行われる。 二 何人も、二つ以上の地位への候補者にはなれない。
第五十条 世界議会の総裁の選挙
一 世界議会の各出席代表は、世界議会の大統領の選挙に立候補することができる。 二 選挙で最大の票を得た候補者が総裁になる
第五十一条 書記と書記長の選挙
一 世界議会の各出席代表は、書記の選挙に立候補することができる。 二 選挙での当選者のうち、最大の票を得た候補者が書記長になる。
第五十二条 広報官の選挙
一 世界議会の各出席代表は、広報官の選挙に立候補することができる。 二 選挙での当選者のうち、最大の票を得た候補者が広報官になる。
第五十三条 登録委員会の委員の選挙
一 世界議会の各出席代表は、登録委員会の委員の選挙に立候補することができる。 二 選挙での当選者のうち、最大の票を得た候補者が登録委員会の委員長になる。
第五十四条 財務委員会の委員の選挙
一 世界議会の各出席代表は、財務委員会の委員の選挙に立候補することができる。 二 選挙での当選者のうち、最大の票を得た候補者が財務委員会の委員長になる。
第五十五条 各国の議席
一 世界議会の議席の合計数は、基本的には1,000とする。世界議会の議席は、各国の人口に比例して配分される。議席数の合計は、配分の過程でわずかに変更されることがある。 二 基本的には、各代表は1票を持つものとする。ただし、一国が1票を持つために十分な人口を持っていない場合には、その国は、1票よりも少なく人口に比例した票を持った代表を送ることができる。 三 議席の配分および告示は、次の任期の最初の会議より少なくとも3年前に行われなければならない。 四 議席の配分を決定する統計は、最新かつ最も信頼性の高いものでなければならない。人口の統計が利用できない場合には、登録委員会は利用可能な情報に基づいて議席数を決定する。 五 以下の表は、それぞれの国の人口に比例した議席の配分の一例である。
表-1 議席の配分
世界の人口は68億2,929万7,000人で、そのうち中国は13億4,575万1,000人、インドは11億9,800万3,300人、アメリカは3億1,465万8,800人、日本は1億2,715万6,200人、仮想国は1,000人と仮定される。代表の総数は基本的には1,000人で、議席は人口に応じて配分される。したがって、中国の場合、議決権は197.0556票となる。同様に、インドは 175.4212票を持ち、アメリカ 46.0748票、日本 18.6192票および仮想国 0.0001票を持つ。これは、小数第1位を切り上げあるいは切り下げて整数に調整する。小数第1位がゼロでなければ切り上げられ、ゼロならば切り下げられる。1票未満の票を持つ国の場合は、ゼロでなくもっとも小数点に近い桁が切り上げられる。中国の場合は、小数第1位はゼロなので切り下げられ調整済み議決権は197.000票になり、公式の代表は197人となる。インドの場合は、少数第1位はゼロではないので切り上げられ、調整済み議決権は176.000票になり、公式の代表は176人になる。アメリカと日本の場合は、調整済み議決権は同様に計算され、公式の代表はそれぞれ46人と19人となる。仮想国の場合は、人口は1,000人なので、議決権は0.0001票で、小数第4位がゼロでないので0.001に切り上げられる。したがって、この国は0.001票の議決権を持った代表を1人送ることができる。この措置により、すべての議決権は1票、0.1票、0.01票、0.001票に分類できる。従って、議決権の総数は基本的には1,000票であるが、実際の代表と議決権の総数は、それぞれ1,000票を若干上回ることになる。
第五十六条 世界議会議員と選挙人の資格
一 各国からの議員の選挙は公正かつ透過的に実行されなければならない。世界議会議員は文民であり、議員が代表する国の国籍を持っていなければならない。 二 各議員は、その議員が代表する国の人々によって直接選出されなければならない。 三 世界議会議員の年齢は25歳以上でなければならならず、議員の選挙人の年齢は18歳以上でなければならない 四 世界議会と選挙人においては、人種、信仰、性別、社会的地位、出自、教育、資産あるいは所得による差別があってはならない。
第五十七条 議員の登録
一 各国からの当選者は、当選者を選出した選挙から1年以内に世界議会に登録されなければならない。議員は、この期間内に登録されない場合は、世界議会での議席を失う。議員の登録は1回のみ許され、追加の登録は許されない。 二 議員は、それぞれの国で再選された場合、2期以上登録されることができる。 三 それぞれの国からの登録議員数は人口に比例して配分された公式議席数の3倍の数まで可能とする。それぞれの国は、その登録議員の中から、公式議席数の範囲で世界議会に代表を送ることがでる。表-1の場合には、中国からの代表は197であるので、登録議員数は、197 × 3 = 591となる。同様に、それぞれ、インドからの登録議員は528、米国138、日本57および仮想国となる。ただし、仮想国の議員の議決権は0.001である。これらの登録議員の中から、それぞれの国は配分された議席に応じて代表を送ることができる。各国は、少なくとも会議の開催までに登録議員の中から代表を特定しなければならない。特定された参加者は、原則として、新たな会期が始まるまで、変更することはできない。ただし、事故、病気などの登録委員会が認める十分な理由がある場合は、代表を変更することができる。 四 前期の任期で議員でなかった議員は、登録の1年後に公式代表として世界議会に出席することができる。しかし、前期の任期で議員だった議員は、登録後直ちに公式代表となることができる。
第五十八条 各国の議決権
世界議会では、議決権は他の代表に委任することはできない。それぞれの国の最大議決権数は理論上の最大議決権数に基づくものでなければならない。理論上の最大議決権数は、参加国の数で参加者の数を割ることによって得られる。最大投票数の計算では、1未満の議決権は計算に入れない。すなわち、1票未満の議決権を持つ国の議決権は考慮されない。換言すれば、最大議決権数の計算において、一国の代表数はその国の議決権数と同じである。計算は、すべての出席代表が議会に登録された後に行われなければならない。それぞれの国の最大議決権数は、以下の二条件に従って決定されなければならない。
i 各国の代表数が理論的最大議決権数以下であること。 ii 上の条件に合致する国で、国の代表数が最も理論的最大議決権数に近いこと。
以上の二条件を満たす国の代表数を各国の最大議決権数とする。換言すると、各国の最大議決権数は、国の議決権数が理論的最大議決権数以下で、かつ議決権数が理論的最大議決権数以下の国の中で、理論的最大議決権数にもっとも近い国の議決権数とする。例は、以下の通りである。国Aは10人の代表、国Bは20人の代表、国Cは30人の代表、および国Dは40人の代表を送る。したがって、参加国数は4で、代表数は100となる。この場合、100 / 4 = 25なので、理論的最大議決権数は25である。国Bの20人の代表が理論的最大議決権数より少なく、理論的最大議決権数以下の国の中で最も理論的最大議決権数に近いので、最大議決権数は20で、国CとDからは代表20人のみが代表として受け付けられる。 以下の表は、他のいくつかの数値例である。
表-2 各国からの代表数
i 参加国が2か国の場合。各国の理論的最大議決権数は参加国の総議決権数の100 / 2 = 50%である。たとえば、上の表に示されるように、国Aが20人の代表、および国Bが80人の代表を送ると、総代表数は100になる。したがって、理論的最大議決権数は100 / 2 = 50である。しかし、国Aからの20人の代表は、理論的最大議決権数50より少なく国Bからの80人の代表は理論的最大議決権数より多い。それ故、国Bからは、代表20人のみが受け付けられる。 ii 参加国が3か国の場合。各国の理論的最大議決権数は、参加国の総議決権数の100 / 3 = 33.333 . . . %となる。たとえば、国Aが15人の代表、国Bが30人の代表、および国Cが55人の代表を送れば総代表数は100となる。それ故、理論的最大議決権数は、100 / 3 = 33.333 . . . となる。それ故、国Bの30人の代表が理論的最大議決権数33.333 . . .より少なく、理論的最大議決権数と同じか、より少ない国の中で最も理論的最大議決権数に近い。それ故、最大議決権数は、30で、国Cからは代表30人のみが受け付けられる。 iii 参加国が4か国の場合。各国の理論的最大議決権数は、参加国の総議決権数の100 / 4 = 25%となる。たとえば、国Aが15人の代表、国Bが20人の代表、国Cが30人の代表、および国Dが35人の代表を送れば総代表数は100となる。それ故、100 / 4 = 25が理論的最大議決権数となる。それ故、国Bの20人の代表が理論的最大議決権数25より少なく、理論的最大議決権数と同じか、より少ない国の中で最も理論的最大議決権数に近い。それ故、最大議決権数は、20で、国Cと国Dからは代表20人のみが受け付けられる。 iv 参加国が5か国の場合。各国の理論的最大議決権数は、参加国の総議決権数の100 / 5 = 20%となる。たとえば、国Aが5人の代表、国Bが10人の代表、国Cが15人の代表、国Dが30人の代表、および国Eが40人の代表を送れば総代表数は100となる。それ故、100 / 5 = 20が理論的最大議決権数となる。それ故、国Cの15人の代表が理論的最大議決権数20より少なく、理論的最大議決権数と同じか、より少ない国の中で最も理論的最大議決権数に近い。それ故、各国の最大議決権数は、15で、国Dと国Eからは代表15人のみが受け付けられる。 iv 参加国が6か国以上の場合。最大議決権数は同様に計算される。 この方法により、小数の国の極端に大きな代表団が防がれる。
第五十九条 任期
一 世界議会議員の任期は、新任期の最初の会議の開催が宣言された日から4年とする。 二 登録はいつでも受け付けられる。しかし、議員の任期は、新任期の最初の会議の開催が宣言された日から起算する。それ故、例えば、新任期の最初の会議の開催は2020年4月1日に宣言され、国からの登録は2021年4月1日に行われた場合には、残存任期は3年となる。残存任期が2年未満である場合には、4年が任期に追加される。それ故、来期に選出される必要はない。 三 総裁、書記長、書記、広報官、登録委員会の委員、財務委員会の委員、会計検査院の検査官の任期はその就任から4年間とする。それ故、理事および会計検査院の検査官は、世界議会の任期が終了した場合でも、それらの役職に留まるものとする。
第六十条 不適切な登録議員の除名
一 不適切な登録議員は他の登録議員によって除名される。登録議員に問題がある場合は、他の登録議員は、その問題のある登録議員の議員資格に反対することができる。登録議員が他の登録議員に異議申し立てをするときは、異議申し立てをする議員は、氏名と明確に示された理由を記載した文書を世界議会の総裁に提出しなければならない。文書は検討のために登録委員会に送付され、ウエブサイト上および世界議会の他の出版物上で公表される。異議申し立てが登録議員の総議決権数の5%に達した場合、登録委員会は、総裁の名前で各登録議員に文書を送付する。次の段階、世界議会の会議、では異議申し立てをされた登録議員を除名する動議が提出される。出席代表の総議決権数の過半数の議決権を持った出席代表が除名に反対した場合、異議を申し立てられた登録議員は除名されない。それ以外の場合は、文書による異議申し立てが登録議員の総議決権数の5%であっても、異議を申し立てられた登録議員は除名される。 二 登録議員よる異議申し立てがない場合でも、世界議会が、出席代表の総議決権数の過半数をもって、登録議員が除名されなければならないと議決したときは、その登録議員は除名される。 三 登録議員が死亡したか、または辞職したか、または除名された場合には、現行の任期の終了後に次の選挙が実施されるまで、それぞれの国は新しい議員を登録できない。除名された議員は、現行の任期の終了後の次の選挙で当選すれば、再び登録議員になれる。 四 それぞれの国からの登録議員の議席数は、除名の日から4年間、除名された登録議員の数に応じて削減される。例えば、登録議員2人が除名された場合、それぞれの国からの登録議員の議席数は、除名の日から4年間、2議席削減される。 五 世界議会の理事、すなわち、総裁、副総裁、書記長、書記、広報担当官、登録委員会の委員および財務委員会の委員は、本条の適用によっては除名されない。理事は弾劾によって除名される。 六 世界議会の会議における除名の過程においてもまた、第五十八条に規定されているそれぞれの国の最大議決権数を適用する。 七 登録議員への異議申し立ては、世界議会の開催の3か月前から会期の終了まで受け付けられない。 八 除名の実際の過程では、除名の過程は登録議員の総議決権数の5%に達した異議申し立ての順序に従って行われる。すなわち、ある登録議員が、総議決権数の5%を持っている他の登録議員よって異議申し立てをされ、その登録議員が異議申し立てをされた最初の登録議員ならば、その議員が、除名の動議が提出される最初の議員となる。異議申し立てをされた議員が除名された場合は、その議員は、他の登録議員の除名の動議の討議と投票で発言し投票する権利を失う。
第六十一条 弾劾
一 総議決権数の半数以上を有する出席代表が特定の理事の弾劾を支持するとき、弾劾の手続きが開始される。弾劾の過程において、出席代表の総議決権数の三分の二以上を有する出席代表が解任を支持したとき、その理事は解任される。 二 特定の理事が解任され選挙が必要な場合には、登録委員会によって選挙が40日以内に実施されなければならない。 三 登録委員会のすべての委員が解任された場合、総裁が選挙を実施する。
第六十二条 通常会議
一 世界議会の通常会議は、年に一度、総裁によって招集される。 二 少なくとも四年に一回は、通常会議は世界議会の本部が設置されていない国で開催されなければならない。 三 開催日と通常会議の開催地は、理事会で定める。 四 通常会議は、少なくとも開催の6か月前に発表され、開催地に到達するのに特別の困難がない限り、世界議会は、出席代表の数に関係なく、会議を開き議決することができる。
第六十三条 臨時会議
一 総裁は、必要があるとき、世界議会の臨時会議を招集することができる。 二 総議決権数の四分の一を持った登録議員が要求したときは、総裁は世界議会の臨時会議を招集しなければならない。 三 世界議会は、以下のいずれかの場合に会議を開き議決することができる。 i 世界議会は、少なくとも開催の1か月前に発表され開催地に到達するための特別の困難がない限り、出席代表の数に関係なく会議を開き議決することができる。 ii 世界議会は、全公式代表の三分の一が出席している場合、会議を開き議決することができる。
第六十四条 議決
一 すべての事項は、出席代表の総議決権数の過半数を持った出席代表の投票によって議決される。同数の場合、議長は、その事項について決定する。 二 本憲法の第五十八条で規定された各国の最大議決権数が適用される。
第六十五条 世界政府の政策に関して調査する権利
世界議会は、世界政府の政策に関して調査を行うことができ、世界連邦内の国に住んでいる証人の出頭および証言を要求することができ、記録の提示を要求することができる。
第六十六条 会議と議事録の公開
一 世界議会の会議は、人々に公開されなければならない。ただし、出席代表の総議決権数の三分の二以上の議決権を持った出席代表が議決すれば、非公開の会議が開催され得る。 二 議会は会議の議事録を保存しなければならず、この記録は公表されなければならない。ただし、出席代表の総議決権数の三分の二以上を持った出席代表が議決した時は、記録は公表する必要がない。 三 代表の投票は、いずれの事項についても議事録に記録されなければならない。 四 ここでは、出席代表の議決権の総数は、それぞれの国の最大議決権数に従ったそれぞれの国の議決権の総数を意味する。それぞれの国の最大議決権数は、第五十八条で規定される。
第六十七条 世界議会議員の逮捕の免除の特権
一 世界議会が会期中の間は、法律で定める場合を除き、世界議会の出席代表は逮捕を免除される。会期の開催以前に逮捕されたいかなる議員も、議会の要求があれば、会期中はこれを釈放しなければならない。 二 いかなる国も、この条項に従わずに、議員を世界議会に登録することはできない。
第六十八条 世界議会議員の責任の免除の特権
法律で定める場合を除き、世界議会の登録議員は、議会内での、演説、討論、投票について、議会外で責任を問われない。
第六十九条 世界議会議員への報酬
一 全ての登録議員は、代表であるかないかにかかわらず、世界議会から適切な報酬を受け取る。 二 報酬の額は、財務委員会によって決定され、世界議会によって承認されなければならない。
第四章 世界政府
第七十条 世界政府
世界連邦の行政権は世界政府に属する。しかし、世界政府の権威は、世界議会のそれと同等ではない。世界議会のみが、最高の権威を有する。世界政府の総理大臣は、世界議会によって選出され、解任される。世界政府は、世界連邦内の世界政治と経済の行政に関わる。しかし、原則として、世界政府は社会の限られた側面にのみ関わる。すなわち、原則として、軍事力の運営、通貨の発行、および個々の国だけでは解決できない、他の政治的、経済的な問題にのみ関わる。宗教、自由主義や共産主義のような政治経済体制、工業、農業、商業、科学、芸術、スポーツ、伝統などの社会の他の側面は、それぞれの国に委ねられている。
第七十一条 世界政府の首長
一 世界政府の首長は総理大臣である。 二 就任時には、総理大臣は、世界連邦憲法に従い職務を果たすために最善を尽くすことを人々に誓約しなければならない。
第七十二条 総理大臣の選挙
世界政府の総理大臣は、世界議会によって選出される。
第七十三条 総理大臣の資格
一 総理大臣は、世界議会の議員でなければならない。 二 総理大臣は、30歳以上でなければならない。
第七十四条 総理大臣の任期
一 総理大臣の任期は、就任の日から4年とする。世界議会の議員の任期が満了しても、総理大臣の任期は満了しない。総理大臣はその国の世界議会の議員として再選されなければ、総理大臣の次の選挙に立候補できない。 二 総理大臣は、2期のみ選出されることができる。
第七十五条 総理大臣および内閣の職務
総理大臣と内閣は、他の一般的な行政職務に加えて、以下の職務を遂行する。 一 一般行政職務を執行する。 二 忠実に法律を執行し、世界連邦の業務を指揮する。 三 さまざまな行政部門の制御、監督を遂行する。 四 総理大臣は、世界政府のいかなる官吏をも任免することができる。この権限は、他の大臣のそれよりも優っており、いかなる法律もこの権限を否定することはできない。 五 世界議会に法案を提出する。 六 国際情勢に関して世界議会へ報告する。 七 政令を制定する。ただし、世界議会によって制定された法律で承認されない限り、このような政令は罰則を含んではならない。 八 恩赦、権利の回復、および他の関連する問題について決定する。
第七十六条 副総理大臣
一 副総理大臣は、総理大臣によって任免される。 二 副総理大臣は、総理大臣が職務を遂行できない場合に、総理大臣として職務を果たす。副総理大臣が職務を遂行することができない場合には、世界政府の大臣の一人が、総理大臣として職務を果たす。大臣による交代の順序は、総理大臣が指定する。 三 総理大臣が辞任したか死亡した場合には、副総理大臣が総理大臣になるものとし、任期は元総理大臣の任期の残存期間とする。
第七十七条 大臣と省庁
一 総理大臣は、各省庁の大臣を任免する。大臣の過半数は世界議会議員でなければならず、すべての大臣は文民でなければならない。 二 大臣は、法令で定められた場合を除き省内のいかなるの官吏をも任免し、同省を指揮する。 三 省庁とその機能は、法律で定める。
第七十八条 連邦軍
一 世界政府は、独自の連邦軍を有する。連邦軍の構造は、法律で定める。 二 総理大臣は、連邦軍の最高司令官であり、連邦軍内のいかなる要員をも任免する。
第七十九条 総理大臣と他の大臣の世界議会に出席する権利および義務
一 総理大臣と他の大臣は、世界議会議員であるかないかに関わらず、法案について発言するために世界議会に出席することができる。 二 世界議会が、彼らは出席しければならないことを議決した場合、彼らは回答や説明を提供するために出席しなければならない。
第八十条 調査権
一 総理大臣は、調査は一般に公開されることを条件に、世界政府の各部所の政策および世界連邦のすべての人々について調査を実施する権利を有する。 二 総理大臣は、総理大臣が招集する会議において、その会議が公衆に公開されるという条件で、すべての国のあらゆる国民の出頭および証言さらに記録の提示を要求する権利を有する。
第八十一条 世界政府の大臣の特権
世界政府の大臣は、総理大臣の同意がなければ訴追されることはない。しかし、これによって訴追の権利が損なわれることはない。
第五章 世界法廷
第八十二条 世界法廷
司法権は、世界法廷に帰属する。しかし、世界法廷の権威は世界議会と同等ではなく、世界議会が最高の権威を持つ。したがって、世界議会の議決は世界法廷の判決に優越する。
第八十三条 世界法廷の機能
一 世界法廷の司法権は、国際問題にのみ拘束力がある。 二 世界議会が各国の国内事件が世界法廷で裁かれなければならないと議決した場合は、その事件は世界法廷で裁かれる。関係国は、世界法廷の判決に従わなければならない。 三 世界法廷は、世界連邦における、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。ただし、すでに前条で規定されているように、世界議会の議決は世界法廷の判決に優越する。 四 すべての裁判官は、その良心の行使において独立していなければならず、この憲法と世界連邦の法律にのみ拘束される。
第八十四条 世界法廷の裁判官
一 世界法廷の裁判官は、主席裁判官およびその他の裁判官で構成され、裁判官の数は12とする。 二 主席裁判官と他の裁判官は、世界議会が解任の議決をしたときに解任される。 三 世界法廷の裁判官は、事件を審理中のときは、解任されない。 四 世界法廷の裁判官は、定期的に、在任中に減額されることのない十分な報酬を受けとる。
第八十五条 任期
一 裁判官の任期は限定されないが、法律で定められた年齢に達したとき、退官しなければならない。 二 現職の裁判官が退職したか死亡したときは、新しい裁判官を1年以内に選出しなければならない。
第八十六条 世界法廷の裁判官の選挙
一 すべての裁判官は、登録議員によって推薦された候補者名簿から、世界議会によって選出される。 二 推薦された候補者は、世界議会議員である必要はない。各登録議員は、その議決権数にかかわらず候補者名簿に候補者を一人推薦することができる。例えば、議決権1票の登録議員と0.1票の登録議員の両者が候補名簿に候補者一人を推薦することができる。 三 名簿内の候補者は、名簿に追加された1年後に選挙されることができる。 四 選出された裁判官のうち、最大の票を得た裁判官は、主席裁判管とする。
第八十七条 世界法廷の規則を定める権限
一 世界法廷は、裁判の手続き、弁護士に関する事項、裁判所の内部規律及び司法事務に関する規則を定める権限を有する。 二 検察官は、世界法廷によって定められた規則に従わなければならない。
第八十八条 公開裁判
一 裁判は、国民に公開されなければならない。 二 公開は公の秩序又は道徳にとって危険であると、裁判官の全員一致で決した場合には、裁判は公開することなく行うことができる。しかし、政治的な犯罪、出版に関わる犯罪、この憲法で保障されている人々の権利が問題とされている裁判の場合は、必ず公開して行わなければならない。
第六章 財政
第八十九条 財政運営
世界連邦の財政を管理する権限は、世界議会の議決に従って行使されなければならない。世界連邦の資金の支出と世界連邦の債務の創造は、世界議会の承認により可能となる。
第九十条 世界連邦の歳入
世界連邦の各加盟国は、世界連邦へ適切な額の資金を支払わなければならない。それぞれの国の資金額は、世界とそれぞれの国の状況を考慮し、それぞれの国自体が決定する。
第九十一条 世界連邦の予算
一 会計年度は、法律で定める。 二 予算案は、財務委員会が作成し、検討のために世界議会に提出される。 三 予算案が次年度の開始前に世界議会で可決されない場合は、財務委員会は解散され、直ちに新しい財務委員会の委員が選出される。新しい財務委員会は、予算案を作成し、予算案が可決されなくても、財務委員会は、世界連邦の各部門に、資金を分配することができる。
第九十二条 財務委員会の機能
一 財務委員会は、世界連邦の会計を管理し、世界連邦の各組織に資金を配分する。 二 財務委員会は、世界共通通貨を発行する世界中央銀行を管理する。 三 上記の機能は、世界政府から独立して財務委員会によって遂行される。それ故、世界政府は財政委員会による運営に介入する権限はない。 四 財務員会の委員の数は12人とする。
第九十三条 財務委員会の委員の選挙
一 世界議会の各出席代表は、財務委員会の委員の選挙に立候補することができる。 二 当選した委員のうち、最大の票を得た委員は、財務委員会の委員長となる。
第九十四条 予備費
一 予測できない予算の不足を補うために、世界議会による予備費の承認が可能であり、財務委員会の責任で支出することができる。 二 予備費からの支払いは、世界議会に報告しなければならない。
第九十五条 公的資金や資産の利用に関する制限
一 すべての公的資金や資産は、法律で定められた場合を除き、宗教的な団体や活動のために費やされてはならない。 二 すべての公的資金や資産は、法律で定められた場合を除き、公的機関の管理下にない慈善活動や教育機関のために費やされてはならない。
第九十六条 決算の承認
世界連邦の歳入と歳出の決算は、会計検査院によって毎年検査を受けなければならない。財務委員会は、次年度に、世界議会に決算を報告しなければならない。
第九十七条 国家財政の状態の報告
財務委員会は、世界議会および国民に、世界連邦の財政の状態について少なくとも年に一度報告しなければならない。
第七章 会計検査院
第九十八条 会計検査院
一 会計検査院は、毎年、世界連邦の歳入と歳出の決算を検査する。 二 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。 三 会計検査院の検査官の数は、最大で7人とする。
第九十九条 会計検査院の検査官の選挙
一 世界議会に出席しているそれぞれの代表は、会計検査院の検査官の選挙に立候補できる。同時に、それぞれの登録議員は、その登録議員の投票権数に関係なく1人の候補者を候補者名簿に推薦することができる。例えば、1票の投票権を持つ登録議員も0.1票の投票権を持つ登録議員も1人の候補者を候補者名簿に推薦することができる。会計検査院の検査官の選挙に推薦される候補者は世界議会の議員である必要はない。 二 登録議員によって推薦された候補者の氏名は、登録委員会で受け付けられるものとし、委員会は候補者の名簿を作成する。 三 世界議会に出席している代表である候補者は無条件に選挙されることができる。一方、名簿内の候補者は、名簿に追加された後1年後に選挙されることができる。 四 当選した候補者のうち、最高の票を得た候補者が会計検査院の議長となる。
第八章 改正その他
第百条 世界連邦憲法の改正
一 世界連邦憲法の改正は、世界議会によって発議される。 二 改正の法案は、世界議会の会議において、すべての出席代表の総議決権数の三分の二以上持つ出席代表が法案を支持したとき可決される。 三 可決された改正の法案は、法律で指定された手順に従って、世界の国民投票に送付される。すべての票の過半数の票が改正を支持した場合、憲法は改正される。 四 憲法が改正された場合、憲法は直ちに世界議会によって公布されなければならない。 五 改正された憲法は、公布の六か月後に施行される。
第百一条 現行法の有効性
一 世界連邦の以前の憲法の下で存在していたすべての法律は、改正されない限り有効とする。 二 新しい法律は、世界連邦の新しい憲法に従わなければならない。
第百二条 現行法と新憲法の間の矛盾
一 前憲法のもとで存在していた法律が新憲法に反する場合、総理大臣は、新憲法に従って政策を決定することができる。 二 新憲法に従っているが、現行の法律に従わずに総理大臣によってなされた決定は、事後直ちに、世界議会に報告されなければならない。
© 著者 鈴木俊雄 2017年6月
鈴木俊雄 世界政府研究所 〒270-0007 千葉県松戸市中金杉1-158 ウエブサイト: http://www.w-g.jp/index-j.htm E-メール: a@t-u.jp |
|